雨ニモマケズ
詩人の宮沢賢治に「雨ニモマケズ」という有名な詩。
わたしはこの詩が大好きです。
北地方で貧しい農民たちと生活をともにした賢治が、
こういう人になりたい、と自分にいいきかせた素朴で力強い詩。
そのパロディーに 「雨ニモアテズ」 という詩があるんです。
賢治のふるさと ・ 岩手県盛岡市の小児科の医師が学会で発表した詩です。
職業上多くの子供たちに接していて、まさにぴったりだと思ったという。
作者はどこかの校長先生だそうです。
「 雨ニモアテズ 」
雨ニモアテズ 風ニモアテズ 雪ニモ 夏ノ暑サニモアテズ
ブヨブヨノ体ニ タクサン着コミ 意欲モナク 体力モナク
イツモブツブツ 不満ヲイッテイル 毎日塾ニ追ワレ
テレビニ吸イツイテ 遊バズ 朝カラ アクビヲシ
集会ガアレバ 貧血ヲオコシ アラユルコトヲ
自分ノタメダケ考エテカエリミズ 作業ハグズグズ
注意散漫スグニアキ ソシテスグ忘レ リッパナ家ノ
自分ノ部屋ニトジコモッテイテ 東ニ病人アレバ 医者ガ悪イトイイ
西ニ疲レタ母アレバ 養老院ニ行ケトイイ 南ニ死ニソウナ人アレバ
寿命ダトイイ 北ニケンカヤ 訴訟(裁判)ガアレバ ナガメテカカワラズ
日照リノトキハ 冷房ヲツケ ミンナニ
勉強勉強トイワレ 叱ラレモセズ コワイモノモシラズ
コンナ現代ッ子ニ ダレガシタ
賢治が生まれて100年あまり。
そのころ日本中はどこも貧しかった。
・・・・・悲しいが、
凄くこれを書いた人の気持ちがよくわかります。
まったく同感です。電車の中はまだしも、
公園でまでゲームしている子供たちを見ると、
日本は大丈夫かぁ!???と、思います。。。
最近、エンブリッジでも
入社希望の20代前半~30代中ごろの方々がよく面接にきてくれます。
そのことはとてもとても嬉しいのですが、
正直なかなか魅力的だと感じる方にはめぐり合えません。
皆さんに共通して感じることは、コミュニケーション能力の欠如です。
面接での話ぶりはもちろん、
履歴書の内容で相手を惹きつけることができるかどうかも
大切なコミュニケーションです。
ですが、
宮沢賢治の本当の詩を知らない人のために本物も載せておきます。
「 雨ニモマケズ 」
雨にも負けず 風にも負けず 雪にも夏の暑さにも負けぬ
丈夫なからだをもち 慾はなく 決して怒らず いつも静かに笑っている
一日に玄米四合と 味噌と少しの野菜を食べ あらゆることを
自分を勘定に入れずに よく見聞きし分かり そして忘れず
野原の松の林の陰の 小さな萱ぶきの小屋にいて
東に病気の子供あれば 行って看病してやり 西に疲れた母あれば
行ってその稲の束を負い 南に死にそうな人あれば
行ってこわがらなくてもいいといい 北に喧嘩や訴訟があれば
つまらないからやめろといい 日照りの時は涙を流し 寒さの夏はおろおろ歩き
みんなにでくのぼーと呼ばれ 褒められもせず
苦にもされず そういうものに わたしはなりたい
なぜか仕事をしていても、街を歩いていても、
よくこの詩が頭の中をよぎります。
この詩が示している、
世の中への危惧感は正に今の社会を表している気がします。
わたしがこの詩を好きなのは、
社会への危惧と自分が目指したい姿が、無理なく美しく重なってきます。
もしかしたら、宮沢賢治は
100年前から 今の世の中を見通していたのかもしれませんね。